お気に入りのブーツを来シーズンも気持ちよく履けるかどうかは、しまう前のほんの数分間の手間にかかっています。
冬のブーツは、私たちが思っている以上に過酷な環境を乗り越えてきました。外側についた泥汚れや雪解け水の塩分、そして靴の内側にこもった湿気。これらをそのままにして下駄箱の奥にしまい込んでしまうのは、カビにとって格好の繁殖環境を用意してあげているようなものです。
「去年しまったブーツを出したら、白い斑点が……」という悲しい経験をしないために、今のうちにひと手間かけてあげましょう。難しいことは何もありませんよ。
靴のトラブルで多いのが、カビと型崩れのふたつです。
人間は足の裏から1日にコップ1杯分もの汗をかくと言われています。特に気密性の高いブーツは、脱いだ直後の内部湿度が90%を超えることもあるほどです。文部科学省の「カビ対策マニュアル」によると、カビは温度20〜30度・湿度70%以上・皮脂やホコリなどの栄養源がある環境で爆発的に繁殖します。下駄箱は、まさにこの条件が揃いやすい場所なのです。
湿気と汚れを放置したまま半年が経つと、あの「異臭」や「白い斑点」の原因になってしまいます。今のうちにしっかりケアして、秋に気持ちよく取り出せる状態にしておきましょう。
まずは、ブーツの外側についた汚れをしっかり取り除きましょう。
馬毛ブラシなどを使って、全体を優しくブラッシングします。特に靴のふち(コバ)やジッパーの隙間はホコリが溜まりやすく、カビが発生しやすい場所でもあるので、念入りに行ってあげてください。
雪道を歩いたブーツには、融雪剤の塩分が付着していることがあります。そのままにしておくと革が硬くなり、ひび割れの原因になってしまいます。固く絞った布で全体を優しく拭いて、塩分をしっかり取り除きましょう。
素材によってお手入れ方法も少し異なります。本革のブーツは、汚れ落とし用クリーナーで古いクリームを落としてから、薄く保湿クリームを塗ってあげると革がよみがえります。スエード素材は、専用のワイヤーブラシで毛並みを整えてから防水スプレーをかけておくと安心です。

このステップが、メンテナンスの中でいちばん大切な工程です。
「1日乾かしたから大丈夫」と思いたくなりますが、ロングブーツの奥底に溜まった湿気はとても頑固です。収納する前に、風通しの良い日陰で少なくとも48時間はそのまま置いておくようにしてください。
最初の数時間は、丸めた新聞紙をブーツの中に入れて湿気を吸わせるのがおすすめです。こまめに入れ替えてあげると、さらに効果的ですよ。このとき、直射日光が当たる場所には置かないようにしてください。革が日焼けして色が褪せたり、急激に乾燥してひび割れたりする原因になってしまいます。必ず日陰を選んでくださいね。
ブーツは、自立させた状態で保管するのが基本です。倒れたまま半年間過ごすと、足首の部分に深いシワが入り、最悪の場合その部分の革が劣化して割れてしまうこともあります。
専用のブーツキーパーがあれば理想的ですが、なくても身近なもので代用できます。2リットルのペットボトルに水や砂を少し入れて重石にし、ブーツの筒の中に立てて入れる方法がおすすめです。厚紙を丸めて筒状にして入れるだけでも、十分に形をキープする効果があります。
保管するときは、通気性のよい不織布の袋に入れるのがおすすめです。購入時の箱にそのまま入れると通気が悪くなりがちなので、箱を使う場合は四隅に小さな穴を開けるか、除湿剤を一緒に入れておくと安心ですよ。

ブーツのメンテナンスは、未来の自分への贈り物です。
ブラッシングと拭き掃除で汚れをしっかり落とし、48時間の陰干しで湿気を完全に飛ばし、キーパーや代用品で正しい形をキープしてしまう。この3つのステップを丁寧に行うだけで、ブーツの状態は大きく変わります。
肌寒くなってきた秋に、箱からピカピカのブーツが出てきたとき、きっと今の自分に感謝したくなるはずです。今日は「よく頑張ってくれたね」と言いながら、お気に入りのブーツをブラシで優しく撫でてあげませんか?